校則上、児童生徒に対して、最も重い規定が、退学、停学及び訓告等の処分規定です。当該校則上の規定は、法令に根拠があり、学校教育法施行規則が以下のように定めています。
学校教育法施行規則
第二十六条 校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。
② 懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長(大学にあつては、学長の委任を受けた学部長を含む。)が行う。
③ 前項の退学は、市町村立の小学校、中学校(学校教育法第七十一条の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。)若しくは義務教育学校又は公立の特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。
一 性行不良で改善の見込がないと認められる者
二 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
三 正当の理由がなくて出席常でない者
四 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者
④ 第二項の停学は、学齢児童又は学齢生徒に対しては、行うことができない。
⑤ 学長は、学生に対する第二項の退学、停学及び訓告の処分の手続を定めなければならない。
当該根拠について、従前は学校教育法施行規則13条に規定があったことから、校則等で法令の引用をしている場合に、旧法である学校教育法施行規則13条を根拠と明記している場合は、速やかな改正が必要となります。
また、懲戒に関する手続きは、ルールメイクが必要であり、学校教育法施行規則上も、手続きを定めるべきことを明記しています。
ここにいう手続きとは、具体的には一定の処分を行う前に、当事者に対して「弁明の機会の付与」を行うことをいいます。
「弁明の機会の付与」とは、日時場所を定めて、対象事実を特定して弁明の機会を設定することを差します。面談を希望しない場合は書面での弁明書の提出に代えることができることも明示しておくことが望ましい手続きになります。
校則そのものに記載するか、あるいは校則の規定を受けた内規を定め、あらかじめ児童生徒が閲覧可能な状態にしておくこともまた、求められます。
加えて、校則以外の内規について、校則との関係性を明示できているかも重要であり、それぞれの内部文書相互の位置付けについて、上位規範・下位規範の関係が明確になっていることも求められます。
頭髪や服装に関する過度な規制がないか、性的多様性に配慮したジェンダーレスな規定になっているかなど、社会文化上の時代の変化に伴った改正も望まれるところですが、まずは何よりも、児童生徒の身分に関わる規定について、最新の法令に沿った形になっているかを点検し、時代遅れになっている内容については速やかに見直すべきといえます。