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竹内彰志

誰でも作れる政治団体

政治団体の代表者、会計責任者などに就任するための要件は、政治資金規正法上何らの定めがない。政治団体は、収支の内容は毎年公開される一方、収益事業に該当しない限り課税を受けない。つまり、一般の会社や個人とも異なる取り扱いを受ける特殊な団体である。

よく誤解されるが、政治資金規正法で規制を受ける対象は、政治家個人ではなく政治団体である。そして、政治団体は国会議員に限らず地方議員や自治体の首長も設立できるほか、立候補を予定している段階の者でも作ることができる。公職に立候補せずとも一定の政治活動を行う者は、届け出さえすれば設立できる。

もっとも、別の法律で就任が制限されていることはある。例えば、公務員は政治活動の自由が制限されているため(国家公務員法第102条、人事院規則14―7(政治的行為)、地方公務員法第36条)、政治団体の設立に関与はできない。代表者や会計責任者などの役職者に就くこともできない。公務員関係の政治団体が、退職者を中心に構成されていることはこの現れといえる。また、極端に年齢の低い子ども(例えば幼稚園児)や、認知機能障害が進んで成年被後見人となった人なども、民法上の意思能力がないとして就任できない。

政治団体はあくまで団体のため、1人ではなく複数名で組織する必要がある。裏返せば、最低2名いれば政治団体は設立可能である。また、政治団体の会計責任者と会計責任者の補助者は兼任できないため、その意味でも2名は必要となる。

政治団体設立にあたっては、資金面の制限や代表者等の居住地域を限定するなどの制限はない。選挙は、立候補する際には供託金の制度があり、一定の現金を予納する必要があるほか、地方議員であれば当該自治体に居住していることが要件となるのに比して、政治団体に関する制限は緩やかである。

 

情報公開のあり方や、気を付けるべき点を踏まえて政治と関わる方法とは。 政治資金についての解説の詳細は、中公新書、竹内彰志『政治資金規正法 政治活動と民主主義のルールブック』(中央公論新社、2025)へ

https://www.chuko.co.jp/shinsho/2025/06/102858.html

竹内彰志

遺言、相続、事業承継などを取り扱っており、最近は、海外在住の日本人の方向けのオンラインでの遺言作成など、リモート体制での法律相談の開発に取り組んでいます。 企業団体の広報対応、名誉毀損対応、公職選挙法・政治資金規正法といった政治案件を担当しています。 【弁護士竹内彰志ホームページ shiyoji.com 】 (http://shiyoji.com/