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竹内彰志

「学校が受けたSNS誹謗中傷、どう対応する?削除請求と法的手続きのステップ」【学校運営の法務Q&Aより】

Q. SNSおよび動画サイトに本学の悪評が投稿されました。削除するにはどうしたらよいでしょうか。

A. 学生生徒や教職員など個人に関する内容なのか、学校そのものに関するものなのかを整理したうえで、権利侵害を受けている当人を請求者として、当該サイトへ削除請求を行うほか、法的措置を取ることができます。

学校にまつわる批判や、学校関係者に対する誹謗中傷など、インターネット上には匿名の情報を中心に無責任な言説が飛び交うことがあります。これらの問題となる投稿を発見した場合には、まず当該内容によって、誰が傷ついているのか確認する必要があります。通っている学生生徒なのか、教職員なのか、学校そのものなのかによって、次に打てる手が変わります。

学生生徒について批判されている場合

当該学生生徒やその保護者が請求主体となるため、学校が代わりに対応することは困難です。学校としては、学生生徒本人と保護者と相談しながら、削除請求をしたいという意向がある場合、本人をサポートする観点から必要な助力をするべきこととなります。

教職員が批判されている場合

学校として教職員を守るべき安全配慮義務がありますので、教職員の意向を踏まえつつ、削除請求を学校の費用と責任で行うべきこととなります。

学校そのものが批判されている場合

運営主体である学校法人または自治体が請求主体となり、対応を行うことになります。

削除請求の方法

削除請求の方法としては、裁判所を通じた手続きを行う前に、当該SNSサイトのフォーム等を通じて直接削除請求を行うことがあり得ます。ただし、これは法的措置ではないため、強制力はなく、当該サイト運営者の判断に委ねられます。このような任意の交渉では対応できない場合には、裁判所を通じて当該サイトを相手方として投稿者のIPアドレスを開示するよう求める発信者情報開示請求を行うことになります。
投稿者のIPアドレスについては、サイトごとに保存期間が異なり、短期間で消えてしまうリスクがあります。そのため、即時に対応可能な弁護士に依頼をかけることが必要です。

手続きの流れ

IPアドレスの開示がなされれば、次に当該IPアドレスを管理しているプロバイダに対して、契約者情報の開示請求を行います。プロバイダが日本国外である場合は、日本の裁判所で手続きをしても開示がなされないリスクがあります。最終的に契約者情報が開示されて特定されたら、初めて、投稿削除や損害賠償請求を求めることが可能となります。
このように、手続きが複数必要になりますので、容易な手続きとはいえません。
また、当該投稿内容が、被害を受けた方の名誉毀損または侮辱に該当すると評価されない限り、請求が認められませんので、投稿内容がこれら権利侵害を行うものであるのかも、手続きを進めるにあたってのハードルとなります。

竹内彰志

遺言、相続、事業承継などを取り扱っており、最近は、海外在住の日本人の方向けのオンラインでの遺言作成など、リモート体制での法律相談の開発に取り組んでいます。 企業団体の広報対応、名誉毀損対応、公職選挙法・政治資金規正法といった政治案件を担当しています。 【弁護士竹内彰志ホームページ shiyoji.com 】 (http://shiyoji.com/