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半田靖史

控訴趣意書が裁判官を動かす その1

控訴審弁護人の最も重要な仕事は、控訴の具体的な理由を書いた控訴趣意書を作成して、高等裁判所に提出することです。
通常、高等裁判所の裁判官は、裁判記録が来ると、まず1審の判決書に目を通します。判決を読んだ裁判官は、『良くできた判決だな』と感じることもあれば、逆に、『理由付けにちょっと引っかかるな』と感じることもあります。主任裁判官(裁判長以外の裁判官の1人)は、早い時期に記録を大まかにチェックしますが、この段階では、良くできているという印象をますます強くするか、少し引っかかると思っても、ぼんやりとした疑問にとどまっていることが多いでしょう。
そのような高裁裁判官を動かすのが控訴趣意書です。

高裁裁判官は、控訴趣意書が提出されると、本格的な検討に入ります。
『1審判決は良くできているように見えるけれど、控訴趣意書がいうとおり、1審弁護人の大事な問題提起を無視しているようだ』
『1審弁護人の言うストーリーはあり得ないと思っていたが、控訴趣意書によれば、そうとも言えないようだ』と、裁判官を動かせば、弁護人の主張や被告人の言い分にしっかり耳を傾けさせることができるでしょう。

また、『なんとなく1審判決の理由に引っかかっていたが、なるほど、1審判決は、証拠が薄いのに○○とも考えられると言って、想像で説明をしているのではないか』というように、裁判官が漠然と抱いていた疑問を、控訴趣意書によって、より明確なものにすることもあるでしょう。

このように、1審判決を的確に批判するとともに、被告人側の主張を説得的に展開する控訴趣意書は、高裁裁判官を動かして、不当な判決から被告人を救う重要な手段なのです。

半田靖史

長い間、裁判官として、刑事事件を中心にたくさんの事件を担当して参りました。いかなる事件においても、冷静かつ客観的に証拠をみることを心がけてきました。厳しい決断を迫られた事件で、判決宣告のときに声が震えそうになったこともありました。立場は異なりますが、弁護士の仕事にも、このような裁判官時代の経験は役に立つと思っています。とはいえ、弁護士としては駆け出しです。当事務所の先輩弁護士から助言を得ながら、依頼者の皆様の利益を実現すべく力を尽くして参ります。

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