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河﨑健一郎

マチベン要素を残した事務所は生き残れるのか 事務所紹介②

さて、前回のブログでは生成AIが描く当事務所像と実像の微妙なズレについて触れましたが、今回は当事務所の実態について、より詳しくご紹介したいと思います。

事務所の規模と構成

2025年4月末日現在、当事務所には36名の弁護士が所属しています。加えて司法書士1名、公認会計士2名、弁理士1名といった専門家が在籍し、熱意あふれる事務スタッフとともに、総勢60名ほどの組織となっています。(なお、5月に弁護士が1名、7月には初の外国法事務弁護士が1名増える予定です。)

今年初め、LEGAL JOB MAGAZINEから「2024年版全国法律事務所ランキングにて第50位にランクイン」との連絡をいただきました。

全国法律事務所ランキング

法律事務所は単純に規模の大小で評価されるべきではないとは思いますが、日本全国約18,000の法律事務所の中で上位に入るというのは、一定の評価をいただいているということでしょう。(最新版(2025/4/21時点)では60位となっています。このランキング帯は僅差で順位が変動するようです。)

企業法務と市民法務の両立という挑戦

ランキング表を詳しく見ると、各事務所の特徴が浮かび上がります。弁護士数50名以上の事務所のほとんどは企業法務に特化しています。これは偶然ではありません。企業法務と市民法務は、同じ「弁護士業」でありながら、まるで別世界なのです。

求められる業務スキルが異なることはもちろん、それだけではなく、時間感覚、ビジネスモデル、そして担当する弁護士の気質まで、あらゆる面で異なります。事業としての収益性の観点からも、人材育成や組織マネジメントの観点からも、企業法務に特化した大手法律事務所が規模を拡大し続けていることには、一定の理由があると考えられます。

そうした中で、当事務所は企業法務の専門家を擁しながらも、伝統的な市民法務にも深いこだわりを持ち、公益性の高い紛争案件にも多数取り組んでいます。この点は私たちの事務所の特徴であり、こだわりでもあります。

「マチベン」の伝統と未来への岐路

市民法務の分野では近年、大規模広告と全国支店網を展開する新しいビジネスモデルの事務所が台頭しています。一方で、当事務所のように仕事の9割が既存クライアントとその紹介による「マチベン(町の弁護士)」の要素を色濃く残す事務所は、通常数十人規模にとどまります。その背景には「職人が集う共同体」として、組織的な拡大を目指す意識が希薄なこともあるでしょう。

そのような伝統的事務所の系譜に位置しながら、当事務所は同種の法律事務所の中では最大級の規模に達しつつあります。この先、伝統的「マチベン」の空気を残しながら規模を拡大していくのか、あるいは別の道へと踏み出すのか—私たちは重要な岐路に立っています。

次回は、当事務所の企業法務部門についてご紹介します。

 

河﨑健一郎

早稲田リーガルコモンズ法律事務所も30人近くの弁護士を抱える規模に成長しました。 所属弁護士それぞれが、自己の専門分野を持ち、日々、精錬に努めています。 どのようなご相談をお受けしても、所内にてチームを組んで迅速にご対応できる体制が出来つつあります。ぜひお気軽にご相談ください。