「New Normalにおける法律事務所経営の悩み」
早稲田リーガルコモンズ法律事務所の代表の河﨑です。当事務所でも情報発信機能を強化しようということで、事務所ウェブサイトにコラム欄を設けることになりました。
私からは、事務所経営やイベント登壇情報などを中心に記事を上げていきたいと思います。 第一弾は、先日(2020/7/1)私が進行役を務めた「New Normalにおける法律事務所経営の悩み」というZoom鼎談の感想を書きたいと思います。
イベントの告知情報はこちらのnoteから。
創知法律事務所の藤本一郎さん、シティライツ法律事務所の伊藤雅浩さんとの鼎談で、Zoomを用いたオンライン形式で実施したのですが、50名を超える参加者の方にいらしていただき、盛況となりました。
もともと伊藤さんと私は司法修習の同期で、同じ東京修習、刑事裁判修習の配属部も同じという間柄です。
藤本さんとは、以前日弁連の臨時総会で藤本さんが修正動議を出したときに、私が賛成討論を行ったことがあり、その縁で情報交換を行うようになりました。
緊急事態宣言下の6月ころ、三人でZoom飲みをしながら「今後の弁護士業界はどうなるかねー」などと話していたところ、酒の勢いも手伝って、次回はこれを公開でやってみよう、となり、実現したのがこの鼎談企画でした。
コロナ禍で変わる弁護士業・法律事務所(経営)
そんないきあたりばったりの企画ではあったのですが、進行役を引き受けることになった私としては、一応のアジェンダを用意しました。
1.弁護士業務はどう変わったか
2.法律事務所はどう変わったか
3.法律事務所「経営」はどう変わるのか
登壇者の三名はビールを片手に話しながら、50名近い聴衆も参加している(しかもその大多数は法曹関係者)というかつてない空気感の中でしたが、議論は盛り上がり、予定時刻を30分過ぎる熱の入りっぷりでした。
忌憚なくディスカッションする上で、映像記録は残さない、というルールで行いました。鼎談からひと月が経ってこのコラムを書いているので、詳細の記憶は薄れてきているのですが、こんな発言が印象的でした。
1.弁護士業務はどう変わったか について
・弁護士業務はリモートワークに比較的適しており、小規模事務所であるほどリモート環境の整備はハードルが低い
・ビジネス系の仕事であるほどリモートワークの適用性が高く、一般民事や刑事事件の比率が増えるとオンサイトで対応せざるを得ない仕事が増えていく
・オンライン化が進まない裁判所や検察庁の事務処理がボトルネックになっていることは論をまたない
・裁判所がなかなか機能しない中で、紛争解決機関としての裁判所の利用を回避する傾向が強まっていると感じている
2.法律事務所はどう変わったか について
・会議室の利用率が低下している。増床を取りやめた
・記録の電子化やクラウド保存、業務用チャットの活用、郵便の削減などコロナを機に筋肉質な体制づくりが進んでいる
・地域によって感覚の差がある。大阪や京都などは東京ほどコロナを意識した体制にはなっていない
3.法律事務所「経営」はどう変わるのか について
・飲食業や旅行業のように壊滅的な影響を受けている業界に比べると、弁護士業界が現時点で受けている影響はさほど大きくない
・経済全体が収縮する中で、これから影響は拡大していくのではないか
・既存のクライアントとの関係の維持に、リモート環境はさしてネガティブな影響は及ぼしていない
・新規の案件の獲得にはリモート環境はなじまない印象
・いま経営がうまく行っているからといって、いつ息詰まるかわからない不安感は高まっているのではないか
・採用意欲も減退していると思われる
視聴者の方々はツイッターのハッシュタグ #コロ弁 で感想を呟いてくれています。
第一回の鼎談が好評だったこともあり、第二回の #コロ弁 も遠からず実現したいと思っています。