■コロナ対策と離婚
2020年4月~5月、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各企業において在宅勤務が実施され、小学校が休校になりました。長い時間家族が自宅で過ごすことで、日中離れているときには感じなかった不公平感や閉塞感を感じるようになり、離婚を決断する方が増えたという報道も見られます。
従前から、配偶者の退職前後で、「一日中一緒にいる生活は耐えられない」と離婚のご相談にいらっしゃる方が一定数いらっしゃいましたが、それに近いものがあるのかもしれません。
夫婦共に在宅勤務をしているにも関わらず、どちらかが家族の食事の準備等の家事に忙殺され、不公平感を感じることもあるでしょう。
■離婚の方法
主に2つに分けられます。
①協議離婚:話し合いで合意し、離婚届を提出する方法。
②裁判所を利用する方法:まず調停を行い、話し合いがまとまらなければ裁判を検討します。
「調停前置」という決まりがあり、いきなり裁判をすることはできず、まずは調停をすることが必要です。
■離婚にあたって決めなければならないこと
次の6つのことを決める必要があります。
①親権の帰属
日本は単独親権制度をとっているため、夫婦のどちらかが親権者になります。近年裁判所は、親権と監護権を分けることに消極的です。
②財産分与
原則は、名義にかかわらず婚姻生活中に築いた財産を2分1ずつに分けます。結婚前から持っていた財産や、相続で得た財産は対象になりません。
③養育費
離婚前別居時には「婚姻費用」の請求ができますが、これは配偶者+子ども分の生活費です。離婚後は子ども分だけの「養育費」になります。
④面会交流
離れて暮らすお子さんと親御さんが会う頻度・時間・方法などを決めます。月に1回程度とすることが多いですが、当事者の合意で増やすことも出来ます。
⑤年金分割
0.5の割合で合意します。公正証書を作成するか、裁判所の手続を経る必要があります。
(⑥慰謝料)
■コロナ状況下の離婚
最近離婚事件を取り扱う中でコロナ禍の影響を感じることの一つに、財産分与で不動産を売却する必要がある場合、売却がなかなか進まないことがあります。公営住宅の入居要件として離婚の事実が必要である場合など、離婚を急ぐ理由がある際には、財産分与を保留して、離婚を先行させることも考えられるでしょう(財産分与は離婚後2年以内であれば行うことができます)。
裁判所を利用する場合はもちろんのこと、協議離婚であれば自分で対処できると思い、公正証書の作成を行わなかった結果、後に後悔される方を多数見てきました。離婚をお考えの場合には、一度弁護士に相談することをお勧めします!