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早稲田リーガルコモンズ法律事務所

認知と相続の関係

1.資産家の相続財産を狙って?

 資産家が亡くなると、「自分はあの人の子供である」と突如主張する人が現れることがあります。動機として推測できるのは、「『子』として認められれば、相続人になれる(相続財産を受け取ることができる)」ということでしょう。

2.「子になる」ための「認知」という方法

 ある男性に法律上の婚姻関係(婚姻届を出して、結婚している夫婦関係)のある妻がいる場合、妻から生まれた子供は、法律的にも男性の「子」であると推定されます。
 ところが、もし法律上の婚姻関係にない女性(いわゆる「愛人」や「妾」、「内縁の妻」など)との間に子供ができた場合、その子供は、当然にその男性の「子」となるわけではありません。そのような子供を法的に自分の「子」としたい場合には、「認知」という手続きを行う必要があります。TVドラマなどで「あの人には愛人がいて、認知している子供もいるらしい。」といったセリフが語られた場合、それは法的に「妻以外の女性との間に親子関係のある(相続財産を受け取れる)『子』がいる」ということを意味します。
 ところで、結婚している妻との間に生まれた「子」のことは「嫡出子」といい、そうでない女性との間に生まれた「子」を「非嫡出子」と呼びますが、かつては相続できる財産に差がありました。非嫡出子は、嫡出子の半分の財産しか相続できなかったのです。ところが、平成25年9月4日の最高裁判決で、非嫡出子の法定相続分が嫡出子の半分であることは、違憲である旨の判示がなされました。これを受け、平成25年12月5日、民法が改正され、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同じとなっています(ただし、適用は平成25年9月5日以降に開始した相続)。
 つまり、父親の認知を受けると、嫡出子と同じ相続の権利を得ることになるのです。

3.相続のための認知

 非嫡出子は、認知を受けることにより、法定相続人の一人となり、父親の財産を相続することができるようになります。しかも今では、その相続分も嫡出子と異なることはありません。もし、非嫡出子である方がまだ認知を受けていないのであれば、財産を平等に得られるという意味で、認知を受けるという選択肢をお勧めします。
 認知の方法は、父親から届出を行うことが一般的です。すでに父親が死んでしまっていたり、認知に反対している場合には子供の方から認知の訴えを提起することもできます。
 その他にも、実は愛人がいて、その愛人との間に子供がおり、自分の財産を相続させてやりたいが、その方法が分からない、あるいは生きているうちにはそれを明らかにはできない方もいらっしゃるかもしれません。このような場合、遺言によって認知を行うこともできます。これにより、生前のトラブルを避けながら、自分の子供の権利を守ることもできるのです。弁護士は守秘義務を負っていますので、依頼者の秘密を漏えいすることはありません。
 お悩みの方がいらしたら、お気軽にご相談に来られてはいかがでしょうか。

早稲田リーガルコモンズ法律事務所

リーガルコモンズという言葉に込められている思い、それは共有と貢献の価値観です。わたしたち弁護士の持つ法的問題解決の能力は、私すべきものではなく、それを必要としているすべての人のために用いられるべきである。それがリーガルコモンズの考え方です。わたしたちは、多くの先人の努力の上に受け継いだ法的問題解決の能力を、社会に還元する思いを常に忘れません。