Q.生徒の保護者から毎日のように電話がかかってきて、授業の内容が不十分であるとか、子どもへの配慮が足りないなどと言われ、一度電話に出ると何時間も拘束されてしまいます。どのように対応したら良いでしょうか。
A.最初に、授業や会議等を理由として電話対応可能な時間を伝え、その時間になったら終話してかまいません。また、電話録音のほか、文書やメールでのやり取りに誘導することも考えられます。
◎電話対応の限界
電話でのやりとりは文書に比べて機微な内容を話しやすく、相手の反応に応じた柔軟な対応が可能です。
その一方、電話では、対面面談に比べて会話を切り上げるタイミングが難しく、長時間の対応を余儀なくされる可能性があります。
また、相手の表情が見えないので相手の発言に対してつい感情的に回答してしまったり、記録が残らないので後々に言った・言わないの水掛け論になってしまったりするなどのデメリットがあります。特に、やりとりが長時間にわたる場合、会話の内容が推移するなどして、重要な話を聞き逃したり失念したり、当初の目的を達成できないまま終話してしまうなどして、再度やりとりをせざるを得なくなるなどのリスクもあります。
このようなデメリット、リスクを回避するためには、電話でのやりとりは事務的なものにとどめ、相談内容に踏み込むやりとりについては文書やメールなど、文字に残る方法に切り替えることが有効です。
◎対応終了時間の設定
長時間の対応を求める保護者と電話で相談を受ける場合は、必ず対応終了時間を定め、授業や部活動、学内会議等のためなどの理由を明示して、当該保護者に対し最初に伝えてください。
対応時間は、相談内容にもよりますが、概ね30 分程度を目安とするのが良いでしょう。そして、設定した時間になったら、その時点で必ず対応を終了してください。延長が可能でないことを示すことが重要です。
◎文書回答の原則
繰り返し同じ相談をする保護者に対しては、以前回答したとおりである旨を伝えて対応終了することができるよう、学校側の回答は文書やメールで行うことが望ましいと考えます。
そのためには、当該保護者に対し、相談内容について誤りがあってはいけないので録音させてもらいたい旨を伝え、録音の了解を得た上で相談内容の録音をとることが有効です。録音を拒否された場合は、スピーカーフォンなどにして複数名で相談を聞き、メモを作成するこ
とが考えられます。
電話では反論や回答はさし挟まず、保護者の話を傾聴し、ご意見を承ったので学校内で検討してあらためて回答する旨を伝えて終話することが良いでしょう。
また、もし話しきれなかったことがあれば、改めて文書やメールで連絡してほしいことを提案することも考えられます。
終話後には、録音内容などをもとに面談内容の記録を作成し、保管することが望ましいでしょう。
そして、事実関係等を精査の上、学校としての回答を文書又はメールで発出してください。