新宿警察署で留置中に死亡したネパール人のアルジュンさんの遺族が東京都と国を相手に提訴した国家賠償請求訴訟において、東京地方裁判所は、被告都の責任を認め、原告勝訴判決を下しました。
2017年3月13日、東京都新宿区百人町で遺失届が出ていたクレジットカードを所持していたとして、占有離脱物横領罪の容疑で新宿警察署に逮捕・留置されたアルジュンさんは、3月15日午前6時半の起床時、布団を正しくしまわなかったとの理由で、反抗的であるとされ、保護室に収容されました。そして、ベルト手錠、新型捕縄、ロープという3種の戒具を身体に装着され、その約3時間後に肺動脈血栓症で死亡しました。
本件は、無抵抗のアルジュンさんを保護室に収容した上で、戒具装着要件が認められないにもかかわらず漫然と戒具を装着し、アルジュンさんの血流を阻害して死に至らしめた、という極めて悪質な事案になります。
警察の留置業務の現場では、このような保護室に収容した上での違法な戒具装着行為が横行しており、2022年12月には、愛知県岡崎警察署、大阪府浪速警察署と立て続けに保護室収容後の戒具装着による死亡事件が発生しています。
今後は、保護室収容後の戒具装着は原則違法であるとの認識を社会に広め、警察の留置業務の根本的改善を促す必要があります。
今後とも、皆さまのご支援ご協力をどうぞよろしくお願い致します。