本訴訟の原告は、アパホテル大阪肥後橋駅前店の22階にある宿泊室のバルコニーから約60メートル下の歩道上に転落して死亡した故人の遺族らです。原告らは、アパホテル株式会社に対して、上記転落死はホテル側の安全管理体制に重大な欠陥があったことが原因であるとして、同社の責任を追及していました。
2023年2月27日、東京地方裁判所は、上記バルコニーの手摺の高さが建築基準法の規定に違反していたこと等を認めたうえで、ホテル側の設備や構造が通常有するべき安全性を欠いていたとして、被告の土地工作物責任を認めました。
本判決は、バルコニーの手摺の設置基準について定めた建築基準法施行令第126条の制度趣旨に関する解釈を示した裁判例として重要な意義を有するものであり、宿泊施設の設置許認可等に関する行政実務にも影響を与える可能性があります。
日本全国に支店を展開しているホテルの社会的責任として、宿泊客の生命・安全を第一に考えて、施設の構造・設備上の問題点を今一度総点検することを強く求めます。
https://mainichi.jp/articles/20230227/k00/00m/040/226000c