刑事弁護の経験から『K-Ben NextGen』へ
私が運営として参画している『K-Ben NextGen』という団体の活動についてご紹介します。
私は、元々刑事弁護士に憧れて法曹を志したということもあり、弁護士になってから5年で、のべ100件近い刑事事件の弁護を担当してきました。
刑事弁護はそもそも厳しい立場での仕事ですが、個々の刑事事件を担当する中で、日本の刑事司法の不合理さを強く感じています。
また、日々報道される刑事事件のニュースを見ていても、その切り口や焦点の当て方について疑問を感じることがあります。
事件を担当した弁護人として既存メディアの取材に応じても、こちらが意図した通りの報道がされないこともありました。
そういった経験から、刑事弁護に携わる弁護士の立場で、広く社会に向けて発信できるメディアの必要性を感じていました。
そんな中で、刑事弁護に熱心に取り組んでいる同世代の弁護士7人で集まって始めたのが、『K-Ben NextGen(https://k-ben-nextgen.com/)』の活動です。
『K-Ben NextGen』の活動方針
『K-Ben NextGen』では、次の3つを活動方針として掲げています。
① 若手弁護士同士の技術向上・交流
② 刑事司法に関する正しい情報の提供
③ 日本の刑事司法を変える!
このうち、特に②について簡単にご紹介します。
犯罪や社会の秩序安全に関わるニュースは、国民の重大関心事です。
だからこそ、刑事司法に関するマスメディアの報道には、他の事件に関する報道以上に正確性が求められます。
しかし、残念ながら今の日本のマスメディアの報道は正しいものばかりではありません。K-Ben NextGenのメンバーも、報道がなされるような事件をたくさん担当してきていますが、その都度マスメディアの知識不足や偏見、アンフェアな報道手法に接し、悔しい思いもしてきました。
その原因としては、「裁判の公開」という原則が十分に満たされていないことや、捜査機関からのリークを主な情報源とする報道の在り方など、たくさんの問題があります。
これまでの活動実績
しかし、私たち弁護士がこれまであまり情報発信をしてこなかったことにも原因があると考えています。
そこでK-Ben NextGenでは、YoutubeやSNSなどを活用して、刑事司法に関する報道を論評し、刑事司法にまつわる誤解を正すことを目指しています。 刑事弁護という仕事の役割についても、一般の方々に正確に理解していただけるような情報発信をしていきます。
例えば、これまでにこのような動画を製作・発信してきました。
①世間の耳目を集めた京都アニメーションの放火事件に関して、その被疑者の逮捕報道についてコメントした動画
https://www.youtube.com/watch?v=citSGwU9PsI#action=share
②刑事弁護の基礎知識について、日々事件に取り組む弁護士の視点から解説した動画
③若手弁護士や司法修習生向けに実施している、法廷弁護技術や弁護活動の実践例に関するオンラインセミナーの様子を収録した動画
ほかにも、Twitter(https://twitter.com/k_nextgen)や、若手弁護士向けに運営しているオンラインサロン(https://k-ben-nextgen.com/online-salon/)でも、様々な情報発信やセミナーなどを日々行っています。
これからも、全国の若手弁護士で共闘しながら日本の刑事司法を変えていくことを目指し、活動を続けていこうと思っています。